デニム生地のカーゴパンツを作業着として用いるメリットや注意点の詳細

作業服(下)7

元々は港湾作業員が履くズボンとして作られたカーゴパンツは、その頑丈な作りから現在では様々な作業現場で重宝されています。近年ではファッションアイテムとして使われるケースも増えましたが、それでも一般的な作業ズボンとしての知名度の高さは変わりません。

体を動かしやすいカーゴパンツの選び方やお手入れの注意点について学びましょう。

カーゴパンツの歴史と普及の経緯

作業ズボンの一種であるカーゴパンツは貨物船を意味するカーゴの名前の通り、港で荷役作業に従事する労働者の作業服として扱われていました。一般的なズボンよりも厚手の生地で作られているので耐久性が高く、破れにくい利点があります。

また、左右の膝上部分にポケットが付いているのも大きな特徴です。体を動かしやすく、収納用のポケットが多いことからやがて荷役作業に限らず、様々な作業現場で用いられるようになりました。一般的なズボンが腰とおしりの部分に計4つのポケットがあるのに対し、カーゴパンツは両膝の上部にもポケットがあります。

そのため、他のズボンと区別する意味を込めて6ポケットパンツと呼ばれることもあります。カーゴパンツが世界的に普及したのは1942年にアメリカ陸軍が戦闘服として採用したのがきっかけとされています。

頑丈で破れにくく、収納用のポケットの多さから過酷な環境で着用することが多い戦闘服に最適と評価されたのです。やがてアメリカに限らず、多くの国の軍隊で兵士の戦闘服として採用されるに至り、その機能性の高さが世界的に認知されたのです。

幾度かのデザイン変更を経て採用されたM-51戦闘用ズボンは現在でもアメリカ陸軍の戦闘服として活用されています。

軍服として普及したカーゴパンツは耐久性と機能性の高さからアウトドア用のファッションアイテムとして重宝されるようになり、現在では様々な材質やデザインの製品が販売されています。カーゴパンツは元々は安価な作業服だったため、綿生地で作るのが普通でした。

特にデニム生地は荷役作業の現場で雨除けのシートとして多用され、その一部がカーゴパンツ作りに転用されることもありました。そのような経緯から現在ではデニム生地のカーゴパンツも数多く販売されています。

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ジーンズとカーゴパンツの違い

デニム生地を使った作業用ズボンはジーンズが有名ですが、同じデニム生地のカーゴパンツとは用途が大きく異なります。ジーンズはゴールドラッシュの際に金脈を掘り当てようとした労働者が履いていたズボンです。山地での穴掘りでは衣服の生地が岩肌に引っかかったり、ポケットに石ころが入り込んで怪我をするおそれがあります。

そのため、ジーンズはポケットが狭く、足の部分を細く絞ったデザインになっているのが特徴です。一方でカーゴパンツは荷物の運搬を中心とした荷役作業に従事する労働者が履くズボンです。体をかがめても動きを阻害しないように余裕を持たせたデザインになっている他、荷物の固定などに使う工具類を収納できるようにポケットも数が多く、大きくデザインされています。

どちらも現在では作業用ズボン以外にカジュアルウェアとしても普及しています。それぞれに長所と短所があるので、作業現場の環境に合わせて使い分けるのが安全に働くためのコツと言えるでしょう。

カーゴパンツが活躍する作業現場について

カーゴパンツを作業用ズボンとして用いる場合、ポケットの多さを活用できるかが重要なポイントになります。カーゴパンツのポケットは使用頻度が多い工具や筆記用具などを収納するために付いています。そのため、工場作業員や電気工事士、配送ドライバーなどの仕事に従事する人にとって最適な一着です。

また、システムエンジニアのように精密機器を扱う仕事も複数の工具を使い分けるため、ポケットが多いカーゴパンツが便利です。

体を動かしやすいズボンであることから、測量士や林業作業員など屋外で働く人の作業用ズボンとしても重宝されています。

デニム生地のカーゴパンツを家庭で扱う際の注意点

デニム生地のカーゴパンツは作業用ズボンの他、現在では普段着として使うケースも少なくありません。ファッション性の高いデザインのカーゴパンツも多く、性別や年齢を問わず多くの人に愛用されています。汚れた場合は他の衣服と同様に家庭用の洗濯機で洗うことができますが、デニム生地は色落ちがしやすいので注意が必要です。

また、カーゴパンツによっては装飾目的でボタンやファスナーが付いている物もありますが、他の衣服に引っかかるのを避けるため、洗濯ネットに入れるのが上手な洗い方と言えます。デニム生地は厚手なので乾燥機は不向きです。

カーゴパンツを乾かす際は形を整え、直射日光が当たらない日陰で干すように心がけます。デニム生地はアイロンをかけないのが普通なので、乾かす際はシワができないように生地を十分にのばすことを忘れてはいけません。

ほつれなどの傷みが生じていると作業中に引っかかりが生じたり機械に巻き込まれる危険があります。そのため、傷んだカーゴパンツは作業用ズボンして使うことはできません。

当て布などで補修してもすぐに新しいほつれが生じるので、室内用の普段着などに用いるのが無難と言えます。

通販でのカーゴパンツの選び方

現在は衣服を通販で購入することが当たり前になり、それに伴ってカーゴパンツなどの作業着を専門に扱う業者も増えています。通販での購入は店舗にはない個性的なデザインの製品を選択できる利点があります。また、安価な製品も多いので出費を低く抑えることも難しくありません。

その一方で通販での購入は試着ができないことから、サイズ合わせには細心の注意を払う必要があります。カーゴパンツなどの作業着は稀に表記サイズと実寸に違いが生じている物があるためです。海外製の激安製品に表記と実寸のズレが生じることがあるので、購入の際は口コミなどの評価を確認することが必須と言えます。

生地の色合いもモニター画像では正確に再現できないことがあるのでその点も注意しなければいけません。

自分の体や用途に最適なカーゴパンツを選ぶのが長く愛用する秘訣

作業用ズボンとしての機能性に優れているカーゴパンツですが、何よりも自分の体に合うサイズであることと、用途に最適な作りであることを重視する必要があります。安全かつ快適に働くには体の動きを妨げず、ポケットを便利に使いこなせる一着を選ぶことが大切です。

試着ができない通販でカーゴパンツを購入するなら必ず口コミなどの評価を複数確認したうえで慎重に判断しましょう。